森のメヌエット1


美しい森がありました。


春には花が咲き

夏は

みずみずしい若葉がしげり


秋になると

木の葉は色づいて


赤やだいだい色や

セピア色の

あざやかな模様をえがきます。


そして

木枯らしといっしょに

枯れ葉が舞い


冬はまっ白に

降りつもる雪のしたで


ひっそりと眠りつづけて

しずかに春のくるのを

待つのでした。


森は生きているのです。


その森の

小さな池のそばの

やわらかな土から


ある春の日

小さな木の芽が生まれました。


春の小さな動物たちは

かわりばんこにやってきて

おめでとうをいいました。


そして

小さな芽の上を

ぴょんぴょん

とびこしてあそびました。


生まれたての芽は

ほんとうに小さかったのですから。


*次回 森のメヌエット2につづきます。

(作 藤城清治 お話 香山多佳子    1991年12月、1992年1月 暮らしの手帖より)

藤城清治の世界

こびとはぼくの分身だ。 ぼくはこびとを通して夢を語る。

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